鎌ヶ岳/登山

内容
 宮妻の駐車場に8時着。林道はしっかりと雪道。ロングスパッツを付け出発。水沢峠への分岐で先行の4人パーティーに追いつく。ヘルメットにハーネス・ワカンと完全装備だ。途中で追い抜き1時間強で水沢峠着。天気も良くトレースはあるので楽勝か…と思ったが、水沢岳で先行の単独行者と出会う。この先、更に雪が深くなり、トレースもないので引き返してきたという。さてどうしたものか。まあ、天気は上々、ツェルト・ビヴィー・メタストーブもあるので最悪星を見ながらビバークも良し、と覚悟を決め突っ込むことに。  気温は高く締まりのない雪。ほぼ膝までのラッセルだが、時折現れる急斜面は腰から胸までの深雪に悶えながら進む。登山道は雪の下、リボンやテープも殆ど無くルートファインディングを強いられる。GPSで大きくルートを外してないかだけ確かめ、雪庇に気を付け歩きやすそうな所を選んで進むが、ロープや鎖に出会うとホッとする。面白いものでルート上には動物の足跡が結構続いている。動物にとっても安全で歩きやすい所は同じらしい。岳峠手前の痩せ尾根はスノーリッジの上に雪庇が団子のように乗っかり緊張する。ストックで足の置き場を作り慎重に渡る。最後のピークでカズラ谷ルートのトレースに合流し安堵とすると共に、踏破の達成感が湧き出てきた。  下山を考えると、3時には鎌の頂上を出たい。休憩もそこそこに最後の登りにかかる。岳峠から20分で頂上着。快晴で風も殆どなく最高の景色が広がる。写真だけ撮って下山開始。頂上手前の祠も雪の下。ルンゼも雪深く、雪崩るまではいかないが、人間大の雪の塊が目の前を転げ落ちていく。当たれば一緒に落ちていくな~クワバラクワバラ…ルンゼを駆け下り、岳峠で初めての大休止。と、例の4人パーティーが峠から直接ラッセルで下っている。わざわざラッセル訓練?ラーメンでお腹を満たし、正規ルートでカズラ谷道を下っていくと、パーティーと出会った。時間切れで頂上は諦めたらしい。ここでも「お先に!」と先行する。後はひたすら下るだけだが、下りは腰にくる。痛みとの根競べで歩き続け、4時半過ぎ車にたどり着き、ようやく充実した長い1日が終わった。  車で片づけをしていると先ほどの4人パーティーが「お疲れ様でした~」とやってきた。先頭の女性が「最後までアイゼンつけてませんでしたよね。」と聞いてきたので、「ええ。凍ってなければ必要ありませんからね。」と答えると、「凄いですね!」と返された。???当然のことを言ったまでだが、最近の傾向として、雪が出てくればアイゼンを履くのが当たり前になっているような気がする。現に今日も先行のトレースには全てアイゼン跡があった。必要もないのに重いアイゼンを付ければ疲れるし、引っ掛けて転倒の危険性も高まる。折角皆で付けたステップも、アイゼンで歩かれると崩れて滑り台になる。道具(ハード面)が進化し、誰もが気楽に雪山に入れるようになったが、もっと基本的技術などのソフト面も教え伝えていくことも必要なのではないのかなと感じた。